拡声器騒音とは何か

 拡声器騒音は、通常の騒音とは異なり、拡声器によって意図的に出された音が不快感を伴っている場合のものである。毎日の防災無線放送、公共の交通機関における過剰放送、学校の校内放送やチャイム、商店街や商店のBGM、選挙カーや宣伝カーの放送などが拡声器騒音となるが、通常これらは一般社会ではむしろ積極的に受け入れられている。すなわち、少数者にのみ不快な騒音となっている。そしてここにこそこの問題の深刻さがあるのだ。

 拡声器騒音の中で最も深刻なのは、毎日の防災無線放送である。たいていは夕刻に音楽が流されるものだが、地域によっては、早朝に音楽や朝の挨拶が放送されるところもある。お昼の放送もあり、1日3回の地域もある。さらに滑稽なのは、午後の時間に体操の音楽を流す町もある。

 防災無線放送は、家の中で何をしていようと関係なく聞かされるもので、きわめて残酷な音である。しかも、そうした集団主義的な音の暴力が、多くの国民によって、あるときは「地域の標識音」として、またあるときは信じられないことに「住民のコミュニケーションの手段」と見なされているのだ。

 他の拡声器騒音にはそれぞれの特徴があるが、基本的には拡声器利用者には悪意がない、という点では一致している。そしてその受容者は、いつも注意してもらい、音楽を提供してもらっていることを、当然と思っている。

 このように考えると、拡声器騒音を無くそうという運動は、一般人のとてつもない抵抗に遭わなくてはならない。私たちは、その問題点をじっくり説明しなくてはならない。時間をかけて理解してもらっても、いざ改善となると身体がついてゆかず、事態はなかなか変わらないのである。

 しかし、私は、これがいかに困難な問題であろうとも、いつかは理解者が増え、日本社会から拡声器騒音を無くそうという運動が盛り上がってゆく日を期待して、しつこく訴え続けてゆくつもりである。

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